2016/10/19 ニュース
2020年の車載用LiB市場規模は15万5430MWhに 矢野経済研究所
 矢野経済研究所は10月17日、車載用リチウムイオン電池(LiB)世界市場の調査結果概要を公表した。同社が今年5~8月に各国のカーメーカー、車載用LiBメーカーをヒアリングするなどしてまとめたもので、9月27日に刊行した資料「2016年版 車載用リチウムイオン電池市場の現状と将来展望」(A4判244頁・頒布価格18万円)の一部。概要によると、昨年の車載用LiB世界市場は2万7853MWh(搭載された車両ベース、前年比110.1%増)、今年は3万9349MWh(41.3%増)に上る見込みという。今後も同市場の成長は続き、2020年の市場規模は15万5430MWhに達すると見通されている。
 
 この市場の伸びは、環境汚染問題を改善したい各国政府の電気自動車(EV)普及政策を受け、中国などでプラグインハイブリッド車(PHEV)とEVの販売台数が急拡大したことが根拠とされる。仕向け先の車種別では、EV向けが2万4112MWh(市場シェア86.6%)と最も多く、PHEV向けは3303MWh(11.9%)となった。特に中国では、100~300kWhの大容量LiBパックを搭載した電気バスの販売が拡大し、需要が沸騰した。PHEV向けも中国が需要を牽引したほか、欧州などで複数のカーメーカーが相次いで新車を市場投入したことも要因という。今年以降は、EVへの支援策は徐々に縮小されるが、当面は各国政府の普及政策に依存して需要は拡大すると見られる。需要の牽引役となっている中国では、同国のLiBメーカーが中国政府の保護政策的な優遇のおかげで、順調に成長している。このため、今年は世界の車載用LiBメーカーの上位5社中、4社が中国のメーカーになる見通し。今後は高容量化とコストダウンが引き続き課題視され、メーカー各社は2020年までにkWh当たり100ドル台前半までのコストダウンを目指す。また、市場拡大を牽引している各国政府の補助制度などが2020年まで継続することや、米カリフォルニア州などEVの販売義務比率を高めつつある地域があることなどから、2020年の市場規模は15万5430MWhに上ると予測されている。