環境省と厚生労働省は9月13日、水道施設で小水力発電設備を導入した場合の発電量や導入規模などを調査したポテンシャル調査の結果を公表した。昨年度、全国で1500以上の水道事業者などを対象に行ったもので、その結果、総出力の可能性は1万8742kW、発電出力が20kW以上の地点は全国で274か所あることを確認した。
導・送・配水などを行う水道設備では、標高の高い場所から配水池へ水を流す場合などにその圧力差が利用されないままでいる。このエネルギーを小水力発電設備で活用すれば、CO2排出量の削減と水道事業のエネルギーコスト低減が両立できると見られる。一方、現在小水力発電設備を導入している水道施設は全体の2.7%にとどまっている。そこで両省は、全国の水道設備で導入ポテンシャルを算定し、水道事業者などが小水力発電の導入検討を行う際参考にできる事項を調査した。調査では、一次調査でアンケートを実施し、その結果から導入可能性の高い施設をさらに調査した。アンケートは1888事業者中、1536事業者から有効回答を得て、この中から導入ポテンシャルが20kW以上となる施設を保有する事業体に二次調査を行った。二次調査では371事業者中、275事業者から想定発電電力量の算定、導入効果の試算結果などが得られたという。
地方別に見ると、北海道では20kW以上の出力が期待できる地点は24か所、年間発電量は1985万4614kWhと試算された。CO2排出削減量は1万3561t-CO2/年と見られる。地点数、年間発電量、CO2排出削減量は、▽東北地方(25か所・1656万5210kWh、9459t-CO2/年)、▽関東地方(65か所・4224万4937kWh、2万1334t-CO2/年)、▽中部地方(39か所・2080万4441kWh、1万1209t-CO2/年)、▽近畿地方(38か所・1978万5401kWh、1万506t-CO2/年)、▽中・四国地方(40か所・2079万6810kWh、1万4480t-CO2/年)、▽九州地方(43か所・1842万7165kWh、1万1840t-CO2/年)--と試算されている。