国土交通省は8月19日、田島正喜・九州大学水素エネルギー国際研究センター客員教授ら4名に、今年度の産学官連携功労者表彰「国土交通大臣賞」を授与すると発表した。田島教授らは、下水汚泥消化ガスから水素を作り、商用規模の水素ステーションで利用するスキームを開発した。表彰式は8月26日、東京ビッグサイトのレセプションホールAで行われる。
田島教授らとともに受賞するのは、▽髙島宗一郎・福岡市長、▽宮島秀樹・三菱化工機エネルギープロジェクト室担当部長、▽中川浩司・豊田通商新規事業開発部部長、の3名。表彰対象となったのは「福岡市水素リーダー都市プロジェクト」で、福岡市の中部水処理センターで平成26年度から実施されている。同プロジェクトは、下水汚泥を処理する過程で発生するバイオガスから水素を抽出し、燃料電池自動車に供給するもの。商業規模では世界初の実証事業で、基礎研究から出口戦略まで強固な連携体制で世界初の事業を実現したことが評価され、今回の受賞につながった。実証事業は、▽福岡市・実証フィールドと下水バイオガスの提供、実証事業支援、▽九州大学・下水バイオガス中の不純物影響調査、▽豊田通商・事業性の評価、▽三菱化工機・研究計画立案、実証設備の建設と運転、データ採取--の分担がなされている。バイオガス由来の水素は、製造時に排出するCO2の量が少なく、同プロジェクトではバイオガスから取り出したCO2をレタス栽培に活用している。また下水処理施設は通常都市部にあり、エネルギー需要地に近接しているため、地産地消の再生可能エネルギーセンターとして最適などの特長を持つという。