経済産業省は4月18日、「エネルギー革新戦略」を決定した。昨秋に安倍首相から「官民対話でエネルギー・環境制約を新たな投資につなげる」と指示され、策定を進めていたもの。昨夏に策定したエネルギーミックスは市場・企業任せではなく、総合的な政策措置が不可欠で、関連制度の一体的整備を行うため策定した。同省では同戦略の実行で、2030年度に省エネ・再エネなどエネルギー関連投資は28兆円、このうち水素関連は1兆円の効果が期待されるとしている。
エネルギーミックスでは、▽徹底した省エネ(オイルショック後並みの35%効率改善)、▽再エネの最大導入(現状の水準から倍増)などの目標を設定している。同戦略ではこれらの実行のほか、エネルギー関連投資を促し「強い経済」と「CO2抑制」の両立を実現する。同戦略中、再エネ関連ではの目標は、▽国民負担抑制と最大限導入の両立、▽電力分野の新規参入とCO2排出抑制の両立、▽再エネ・省エネ融合型エネルギーシステムの立ち上げ、▽地産地消型エネルギーシステムの構築--などが掲げられている。
より個別の施策内容は、▽水素ステーション、燃料電池自動車、エネファームの更なる普及、▽2030年頃の海外からの水素サプライチェーンの構築、▽地域資源や熱の有効利用、高度なエネルギーマネジメントなど地域の先導的な戦略を支援、▽2030年までに米国と同水準(最大需要の6%)のネガワット(節電電力量)活用、▽低炭素電源の低コストな形での導入促進--などとなっている。また、未来の新エネ社会を先取りするモデル創出拠点「福島新エネ社会構想」の実現のため、▽風力発電のための重要送電線の整備(新たな事業体設立) 、▽2020年には再エネから燃料電池自動車1万台に供給できる程度の水素製造、▽製造した水素を県内のみならず、東京オリンピック・パラリンピックで活用--などを実現する。これらの課題・構想・対応策は年内に取りまとめるか、方向性に一定の目鼻をつける。