矢野経済研究所は10月1日、国内の定置用蓄電池(ESS)の市場調査結果の概要を発表した。それによると、2020年の国内ESSの市場規模は330万6600kWhと、2017年比で3倍近くに成長すると見通されている。
同調査は今年5月~9月に、ESS関連メーカー、蓄電システム関連プレーヤーなどをヒアリングするなどして行った。ここでいうESSとは、鉛蓄電池、リチウムイオン電池など5種類と定義している。まず、今年の国内市場規模(メーカー出荷容量ベース)は、前年比94.1%増の58万1491kWhとなる見通し。設置先・需要分野別では住宅向けが5割以上と最も多く、市場を牽引している。販売面では、太陽光発電設備とのセット提案がよく見られる。このほか、FIT制度の10年間の契約期間が終了する2019年以降を見据えて、既設の太陽光発電設備オーナー向けの提案営業も活発化している。2016年は成長が鈍化する模様だが、このような提案営業で再び成長率は回復すると見られる。
一方住宅向けのほか、電力系統用、企業・業務用の需要が成長を促進し、2017年の市場規模は119万5708kWhまで拡大すると見られる。2020年の市場規模は、2017年比で176.5%増の330万6600kWhと予測されている。設置先・需要分野別では、住宅向けが66.0%と高い比率を占め、住宅向け以外では電力系統向けが16.9%、企業・業務向けが14.5%となる見通し。詳細な調査結果は同社の調査報告書「2015年版 定置用蓄電池(ESS)市場の現状と将来展望 ~鉛、LiB、ニッケル水素、レドックスフロー、NAS~」に収録されている。