矢野経済研究所はこのほど、国内外のリチウムイオン電池部材メーカーにヒアリングした結果などをまとめた調査報告書「2015年版 リチウムイオン電池部材市場の現状と将来展望~主要四部材編~」を刊行した。その調査結果によると、昨年の正極材、負極材、電解液(電解質)、セパレーターの市場規模は前年比10.6%増の58億5529万ドルと推計されている。
2014年のトレンドは、民生用の小型リチウムイオン電池部材ではスマートフォンが、中・大型LiB部材では電気自動車、燃料電池自動車などが引き続き市場を牽引した。LiBセル市場でコスト重視傾向が進み、LiB部材市場には値下げ圧力がかかっているという。LiB部材メーカー各社では生産能力が余剰状態で、需給バランスが崩れ、価格競争の激化などもあり、金額ベースでは数量ベースの成長率を下回った。生産能力と実需のギャップは部材で異なるが、xEVの需要や中国でのセル需要拡大などから、LiB部材の生産能力と実需の乖離は徐々に縮まる傾向にあるとみられている。その中国は、正極材(市場占有率55.2%)、負極材(70.0%)、電解液(67.0%)、セパレーター(37.6%)と、部材市場の国別シェアでいずれもトップを獲得した。LiBセルメーカーのコストパフォーマンス向上策が要因とみられるが、中国メーカーの中・大型セル生産は歩留まりが悪く、実需を上回る数量が出荷されている可能性もある。