矢野経済研究所はこのほど、調査報告書「グリーン電力供給事業の市場展望 2014」を発行した。A4判・143頁の体裁で頒布価格は12万円。その抄録によると、平成32年度のグリーン電力市場は平成28年度の電力小売全面自由化も手伝い、1兆2000億円に拡大すると予測している。また、平成25年度~32年度の年平均成長率は36.6%と非常に高いと見ている。
この調査報告書は今年5月~7月、新電力事業者~特定規模電気事業者(PPS)、電力供給関連事業者を対象に実施した調査結果をまとめたもの。グリーン電力市場には既に多数の新電力事業者が新規参入し、各社は差別化のため、グリーン電力の供給比率を高める事業計画を立てている。このため太陽光、風力、バイオマスなど各種再生可能エネルギー利用の新規発電所建設が今後加速する。しかし、各電力会社やPPSがグリーン電力を取り合い、競合が激化していくと見られる。市場のプレイヤーでは、PPSが環境価値や価格などの面で比較的有利とされ、既存の自由化市場(50kW以上の高圧需要家向け)と併せて新規の自由化市場でもシェアを拡大できる見通し。PPSの中でも、IT系事業者は既に個人ユーザーに深く入り込んでいる通信事業と新電力事業をリンクさせれば、有利になると考えられている。