2013/07/29 ニュース
北九州市、5000億円超の事業規模で大型洋上風力など整備へ
 北九州市は、市の新成長戦略の主要プロジェクトとして響灘地区を中心とする「北九州市地域エネルギー拠点化推進事業」に取り組む。昨年の調査・検討の結果を受けて進めるもので、地域の産業に環境負荷の低い安定・安価なエネルギーを供給するため実施する。事業の中心は同地区に設置される高効率火力発電設備と洋上風力発電設備で、火力発電は大規模が2000~4000億円、中規模が100~200億円、洋上風力は1000億円の事業規模をそれぞれ見込む。中規模火力発電設備と洋上風力はともに平成28年度までに建設・稼働する見込みで、大規模火力は平成32年度からの稼働を見通している。
 
 市では、8月8日の北九州市地域エネルギー推進会議を皮切りに、8月23日に火力発電立地検討部会、8月下旬に洋上風力発電立地検討部会をそれぞれ開催。事業化に向けた検討を進める。高効率火力発電は、響灘地区に大規模石炭輸入基地があり、LNG基地も建設中であること、広大な用地があることなどから、火力発電所の立地可能性について協議し、事業者にも働きかけながら推進を図る。中小規模の火力発電設備も工期が短いため、地域に安定・安価なエネルギーを短期間で供給しうるとして有力視している。
 
 一方、洋上風力発電は響灘海域の風況、昨年度の簡易調査で大規模導入の可能性があると判断されたことなどから、漁業権者なども交えて協議し、発電事業者にも参加を働きかけていく。このほか、需要側もエネルギーマネジメントに参加する産業版スマートグリッドの実現を響灘地区を中心に目指す。発電事業者と市内の企業を橋渡しする地域エネルギー会社を設立し、▽複数企業を束ねて全体最適化を行う制度設計、▽企業の未利用の自家発電活用、▽電力不足時に需要を調整するネガワットの取り組み、などを取り入れる。事業推進の障壁があれば特区制度の活用も検討するという。