日本大学工学部は6月25日、一般住宅向けに浅層地中熱利用システムの低コスト化技術を開発したと発表した。日商テクノと住環境設計室の2社と共同開発した。3者は今後も実証試験を継続し、システム機器と制御系を最適して効率化を図る。同時に商用化を見据えた信頼性も検証する。新技術は、地中熱交換器で使用する鋼管を回転させながら地中に貫入させていく新たな施工法と、地中熱交換器群と冷暖房用室内機群を連携制御するヒートポンプシステム制御技術を組み合わせたもの。この施工法は2重管方式熱交換器を利用する。深度20m以浅の地中熱利用を想定し、3者は幅・奥行き1m程度の小型軽量埋設機構を開発。短い鋼管を順次接続しながら地中に回転して埋設するねじ式接続法と、鋼管の先端錐で地中に埋め込む設計法で新工法を開発した。また、複数の地中熱交換器群と、冷暖房の室内機群を連携制御するヒートポンプシステム制御技術も開発。複数の室内機群の運用に影響される熱負荷に応じた循環ポンプの流量の適正化と、熱交換器の稼働率の適正化に成功した。実証試験は、日本大学工学部再生可能エネルギー共同研究施設(福島県郡山市)と福島県葛尾村の実験場で実施した。その結果、初期導入コスト評価では、地中熱交換器を13本使用する実証システムと新工法で、導入コストは150万円／5kWと従来比で40％減を実現できるとの見通しを得た。従来のシステムと比較すると、システムの運用コストを10％低減できることも確認した。