石原伸晃環境相は5月23日、日立造船が青森県六ヶ所村で予定している「(仮称)むつ小川原風力発電事業」の環境影響評価準備書について、茂木敏充経済産業相に再検討を求める環境大臣意見を提出した。対象事業区域が重要な鳥類の生息環境であることを理由に、環境影響の回避・低減が十分かどうかを懸念した措置。
同事業は、日立造船が青森県六ヶ所村に出力3000kWの風車を19基設置。計5万7000kW体制で発電事業を行うもの。当初は風車42基体制で12万6000kWを発電する計画だったが、規模が縮小された。発電開始時期は現時点では未定となっている。石原環境相は、鳥類への環境影響を回避するため、「風力発電施設の設置が回避されるべき小川原湖湖沼群の湖岸に近接する風力発電設備の配置を取りやめ、可能な限り距離を離していることは評価できる」と評価する一方、対象区域周辺は鳥類の生息環境として重要であること、陸奥湾から小川原湖湖沼群までで、他の風力発電事業者の設備が多数見られ、渡り鳥の累積的な環境影響が懸念されることを指摘。今回の事業について環境影響の回避・低減が十分か更に検討が必要と述べた。
茂木経産相は、昨年12月3日付で同事業の環境影響評価準備書について、電気事業法の観点から石原環境相に環境保全の点で意見を照会していた。今回の意見はこの動きを受けたもの。日立造船には、今回の意見と青森県知事の意見を受けた経産相勧告を踏まえた環境影響評価書の作成などが求められる。