2017/12/27 ニュース
2030年頃に水素由来の電力を17円/kWhに 政府が基本戦略決定
 政府は12月26日、安倍晋三首相も出席して開催された第2回再生可能エネルギー・水素等閣僚会議で「水素基本戦略」を決定した。基本戦略は、水素社会を実現する上で必要な2030年までの行動計画と、2050年を視野に入れた将来目指すべきビジョンを策定している。ガソリンやLNGなど、現用のエネルギーと同等程度になるまで水素の製造・運用コストを引き下げるため、水素の生産から利用まで、省庁横断的な政策群を共通目標の下に統合した。そして、環境負荷がほぼゼロのカーボンフリーな水素を実現し、水素を新しいエネルギーの選択肢として提示する。同時に、日本がその技術力などで世界のカーボンフリー化を牽引していくことも目指す。
 
 そのための基本戦略として、▽海外未利用エネルギー/再生可能エネルギーの活用などを活用した低コストな水素利用の実現、▽国際的な水素サプライチェーンの開発、▽.国内で再エネ由来の水素利用を拡大、▽地域資源の活用、地方創生--などを図る。水素の主な活用分野としては電力と燃料電池自動車(FCV)などモビリティが例示されており、電力分野では、2030年頃の商用化を実現し17円/kWhのコストを目指す。水素の調達量は年間で30万t程度(発電容量で1GW)が目安とされ、将来的には環境価値も含め、既存のLNG火力発電と同等のコスト競争力を目指す。その場合、水素の調達量は年間500万~1000万t程度(発電容量で15~30GW)になる見通し。一方、FCVは2020年までに4万台程度、2025年までに20万程度、2030年までに80万程度の普及を目指す。FCVに水素を供給する水素ステーションは、2020年度までに160か所、2025年度までに320か所を整備する。また、エネファームは、2020年頃までにPEFC形で80万円、SOFC形で100万円の価格を実現し、自立的普及を図るとしている。