矢野経済研究所は10月20日、車載用リチウムイオン電池(LiB)世界市場の調査結果概要を発表した。今年4月~9月に各国のカーメーカーなどを調査した報告書「2017年版 車載用リチウムイオン電池市場の現状と将来展望」(A4判330頁、頒布価格18万円)の概要版で、概要によると2020年の車載用LiB世界市場は119.7GWh、2025年には254.9GWh規模に拡大すると予測されている。2016年の市場規模は46.6GWh(前年比52.6%増)と、各国でプラグインハイブリッド車(PHEV)と電気自動車(EV)の販売が引き続き拡大したため伸長した。タイプ別では、EV向けが40.7GWh(構成比87.3%)、PHEV向けが5.3GWh(11.4%)と、EV向けの構成比率は大きい。特に中国では、100~300kWhの大容量LiBパックを用いるEVバスの販売が拡大し、市場を牽引している。
一方、今年からは中国政府が新エネルギー車向け補助金を20%削減するほか、EVバス向け補助金も支給基準が厳格化される。また投機的な買い占めなども発生し、車載用LiB 価格の中心を占める部材価格が高止まりしている。このため、今年の市場は引き続き拡大するものの、成長率はやや鈍化し57.5GWh(23.3%増)と見込まれている。さらに、各国の環境規制が厳格化の一途を辿る中、自動車メーカー各社のxEV新車投入の動きも早まっている。xEV市場は成長市場ではあるが、xEVへの補助金が徐々に削減されることや、原材料の価格高騰など多くの課題が完全には解決されないと見られている。これらのことから、2020年~2025年は緩やかな成長に留まると予測される。