日本気象協会は7月11日、洋上風況観測システム「ブイライダー」を開発したと発表した。ブイライダーとは、波からの揺れが少ない低動揺ブイに、レーザー光の反射波を捉えて上空の風を計測するドップラーライダーを組み合わせたもの。同協会は10日から、山形県庄内沖でブイライダーを用いた洋上風況の観測を始めており、今後1年間で庄内沖の風況観測データを集める。
ブイライダーは直径20mの動揺抑制フィンを装備し、波の揺れが大きな海域でも動揺を抑えてブイの姿勢を保つ。ドップラーライダーにも動揺補正機能があるため、ブイの上でも風況を観測できる。電源は燃料電池を用いており、これでほとんど観測されてこなかった洋上の高度50~150mの風況を測定する。測定したデータは、洋上の空間的な風況を把握する3次元風況シミュレーションに使用される。ブイライダーは、環境省の採択事業「洋上風況の観測システム及び推定に関する技術開発・実証事業」で開発された。同協会は今回の実証試験で、10億円以上かかっていた洋上風況観測のコストを、1億円程度に圧縮・削減することを目指す。