神戸製鋼所はこのほど、静岡県河津町に建設していた圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムの実証設備を完成した。この設備は、天候で出力が変動する風力発電を電力系統上で安定的に利用するためのもの。同社は機器類の設計・製造を担当し、早稲田大学がCAESシステムの制御技術の開発、エネルギー総合工学研究所が設備の構築を請け負っている。4月20日から早稲田大学など3者が実証試験を開始した。
実証設備には、風力発電の予測情報を用いる変動緩和制御と、計画発電制御の2つの制御技術が盛り込まれている。変動緩和制御とは、風力発電の出力変動を緩和するため、CAESシステムの充放電を制御するもの。計画発電制御は、発電計画と実際の発電量との差を極小化するためにシステムの充放電を制御する。この制御技術は設備に実装され、東京電力ホールディングス東伊豆風力発電所と接続された。新設備は、風力発電の電力で圧縮機を稼働させ、空気を圧縮して高圧状態で貯蔵する。電力が必要な時に、貯蔵した圧縮空気で膨張機(発電機)を回転させ電力を発生させる。これで季節や天候で変動する風力発電の発電量を補完・平準化する。空気の圧縮時に発生する熱も貯蔵し、放電時に再利用することで充放電効率が高まっているという。