2017/02/15 ニュース
パネル輸出の不振などが足を引っ張り売上高20%減 昭和シェル
 昭和シェル石油が2月14日に発表した平成28年12月期連結決算によると、同期の売上高は1兆7260億7500万円(前年同期比20.7%減)、営業利益464億1000万円(前年同期は122億900万円の営業損失)、経常利益478億4000万円(132億8200万円の経常損失)、当期利益169億1900万円(274億6700万円)、包括利益146億8500万円と前年同期の赤字から脱却した。
 
 主力のエネルギーソリューション事業は、売上高1213億円(1.5%増)、営業損失91億円(10億円増)となった。子会社のソーラーフロンティアなどで展開する太陽電池事業は、国内外とも事業環境の厳しさが増した。国内では、電力買い取り価格の見直しからパネル価格が下落したが、住宅向けなどで引き続き需要が見込めるとして販売活動に注力した。また、パネル販売だけでなく、パワーコンディショナーや蓄電池などを含めるシステム販売が高い収益性を見込めるため、新規・既存の代理店や住宅メーカーへの営業活動を強化。事業用設備は、設備認定を受けながら着工していない案件に、自社製品への切り替えを提案する活動も実施した。これらの施策で、国内向けパネル販売量は前年度と同水準を維持できた。海外向けは為替差損などを考慮し、下期に販売を抑えたことが祟り、輸出量は前年度を下回った。一方、新エネルギー分野では比較的目新しいBOT事業を推進しつつ、国内外で100MW以上の案件を売却したため、売却益は前年度を大幅に上回った。既に開発を決めた案件は現在鋭意建設中だという。パネル生産面では、主力の国富工場(宮崎県)が高い稼働率を維持し、生産コスト低減も推進した。東北工場(宮城県)も昨年6月から商業生産へ移行し、出荷を開始している。
 
 電力事業では、資本参加している高効率火力発電所「扇島パワーステーション」3号機(出力40.7万kW)が2月に稼働した。その他の自社発電所も安定的な稼働を維持し、グループ全体での発電量は前年度比で約20%増加した。4月に電力小売が全面自由化され、同社も低圧電力小売事業に参入している。サービスステーションを利用する世帯向けや、車を運転しない世帯向けの電力プランを相次ぎ導入し、販売体制を整えた。さらに小売や卸売、取引所経由での販売など販売チャンネルの多様化を図った。これらの活動で、電力事業の営業利益は増益を確保できた。今期は全社で売上高1兆9100億円(21.9%増)、経常利益590億円(12.6%減)、当期利益370億円(24.2%減)と増収減益の見通し。