矢野経済研究所は10月20日、リチウムイオン電池(LiB)の主要4部材市場を調査した調査結果概要を公表した。同社が10月11日に刊行した資料「2016年版 リチウムイオン電池部材市場の現状と将来展望~主要四部材編~」(A4判456頁・頒布価格26万円)から抜粋したもの。概要によると、LiB主要4部材の世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、今年は89億238万9000ドル(前年比26.3%増)、2017年は115億7198万3000ドル(30%増)に伸長すると予測されている。
調査対象の4部材とは、▽正極材、▽負極材、▽電解液・電解質、▽セパレーターを指す。昨年の市場規模は70億5043万6000ドル(18.1%増)と見られ、民生小型機器向けのLiBセル市場が落ち込んだ。反面、車載用LiBセル市場は中国などが需要を牽引し、大きな伸びを見せた。このため主要4部材市場の成長は継続したものの、各部材での金額ベースの伸び率は数量ベースの伸び率を下回った。国別の動向では、引き続き中国のLiB部材メーカーが存在感を高めた。国別の出荷ベース市場シェアでは、正極材で62.6%、負極材で75.2%、電解液で75.3%といずれも国別シェアのトップを占めている。2014年までは日本と韓国のLiBセルメーカーが安価な中国製部材の採用を拡大し、シェア拡大の要因となっていたが、2015年以降は中国での内需が大きく伸びた。今年以降には、中国LiBメーカーなどが生産能力の増強を計画しているが、生産が限られるハイグレード品は、引き続き需給バランスがタイトになると見られる。日本はかつてこの4部材市場で高いシェアを誇っていたが、内需拡大を受けた中国LiBメーカーに押され、年々シェアを低下させている。このほかの市場では、北米や欧州で2017~2018年に排ガス規制が実施される。このため、日欧米のカーメーカーが電気自動車の新車種を市場投入する予定で、国内LiBセルメーカーに牽引され、LiB部材メーカーも需要増につながる可能性がある。