九州大学は11月13日、内田孝紀・九州大学応用力学研究所准教授が開発した数値風況解析手法が東芝の風車建設に適用されたと発表した。内田準教授は平成25年から、東芝と共同でこの手法を共同開発してきており、今年3月に稼働した鹿児島県の新長島黒ノ瀬戸風力発電所に建設された同社製風車2基(出力2000kW)に初適用された。
この解析手法は風車の発電量を最大化し、安全に運転できる設置位置を選定できるようにするもの。内田准教授は、風車建設予定地の3次元地形データを構築し、北東の風が風車周辺に形成する複雑な風の流れを再現した。そのシミュレーションで得られた数値データから、風車周辺の複雑な気流の変化(地形性乱流)を定量的に調査した。この数値風況シミュレーションの予測精度は、風車ナセルに設置した風車制御用の風向・風速計などの観測データで検証し、風車の風況面の安全性を確認できたという。両者は今後、蓄積されたデータと長期間収集している高所風況観測データ、数値風況解析データを比較・検討する。これで、局所的な風況の時間的・空間的な変化が風車の疲労荷重や寿命などにどう影響するかを解明する。