経済産業省は2022年7月11日、今年の冬の調達難による液化天然ガス(LNG)不足に備えて、都市ガスの使用節約を要請できる制度の導入検討を開始した。これを受けて新聞をはじめとするマスコミは、「節ガス」の見出しでエネルギー不安を煽っているように見える。しかし、正しくは「節都市ガス」であって、LPガス(プロパンガス)はいまのところ供給不足になる不安は少ない。 一括りにガスといっても都市ガスとLPガスでは主原料が異なる。都市ガスが液化天然ガス(LNG)であるのに対して、LPガスは液化石油ガス(LPG)。日本のLNGは8〜9%をロシアから輸入している。プーチン大統領がサハリン2の運営をロシア企業へ移管する大統領令に署名するなど、ロシアからのLNG輸入に支障が生じる可能性は高い。また、これまでLNGをロシアに頼ってきた欧州諸国は代替調達の動きを加速しており、激しい争奪戦と価格高騰が懸念される。よって「節ガス」となるのだが、LPガスの主原料であるLPGはロシアへの依存度がほぼない。5月、6月の消費者物価指数を見ても、前年同月比で都市ガスが約22%上昇しているのに対し、LPガスは8〜9%と都市ガスの半分以下。 東日本大震災時にその利便性が見直されたLPガスだが、今回のロシア情勢においてもLPガスの良さに注目が集まりそうだ。