2012/06/15 ニュース
分散型エネ、LPガス利用の自家用発電機に注目

ホンダの「FCXクラリティ」と可搬型インバーターボックス

岩谷産業とデンヨーが共同開発した非常用LPガス発電機

 分散型エネルギーとして、地震などの大規模災害時に、消費地のライフライン復旧に迅速な対応が期待できるLPガスを使った、自家用発電機が相次いで市販化され話題を呼んでいる。

デンヨーと岩谷産業が共同開発、導入進む

デンヨー(本社・東京、古賀繁社長)と岩谷産業(本社・東京、大坂、牧野明次社長)が共同開発した非常用LPガス発電機は、昨年12月26日に新発売した。同発電機は動力用電源向けに開発された三相3線式と、照明やパソコンなどオフィスの電源確保を目的にした単相3線式の2機種で、工場や事務所、マンションなどの大型物件に適している。

エンジンは日産自動車のK25(トラック用2400CC)を使用、その他のパーツを含めすべて純国産型で国内基準に準拠している。

 この非常用LPガス発電機は事務所や管理棟で遠隔監視でき、故障時にはブザーで知らせる。また、発電信号、故障信号、ガス漏れ信号を個別に通報する。低騒音(1m隔離で65dB、7mで50dB)で、静かな運転音である。毎週1回15分間自動で運転する自動保守運転装置も付いており、非常時に備えて常時運転可能な状態を保つように設計されている。

 単相3線式は出力170Aで、一般家庭の5~6軒分の電力を賄える定格出力を持っている。系統が停電したあと60秒で発電を開始し、オフィスの照明やパソコン、サーバーなどの電源を確保する。系統回復後は自動停止し、再び待機状態になる。

 三相3線式は定格出力(50ヘルツ)29KVA、定格電圧は200Ⅴ。充填機やスプリンクラー用に使用する。

 また、自家用の営業車両をLPG車に転換することで、災害時に車両が使えるよう自家用のオートガス充填設備も備えた。

 当面、災害発生時に系統電源が遮断された際、動力や照明などの電気を系統から切り替えて供給する用途に普及させたいとしている。

ホンダと矢崎総業、共同で低圧LPガス発電機

 ポータブル発電機メーカーの本田技研工業とガス供給機器メーカーの矢崎総業が、家庭や事務所の軒先にあるLPガスを使って発電できる「低圧LPガス発電機」(EUɡiGP+専用ガス供給ボックス)を、8月初旬から新発売する。ホンダは従来から小形のポータブルタイプのLPガス発電機を製造、販売しているが、今回新規開発したLPガス用発電機は長時間発電でき、しかも、矢崎総業との共同開発による専用ガス供給ボックスとの組み合わせで、屋外に設置されているLPガス供給設備(低圧)に接続するだけで利用可能な新タイプの発電機として話題を呼んでいる。

 低圧LPガス発電機EUɡiGPは、排気量57CC、出力900VA、直流出力12V-8A、適用温度範囲-15~40℃、燃費約2時間/㎏(定格負荷)、装備重量14㎏、全長451×全幅242×全高379㎜、燃料停止機構オート(シャットオフバルブ搭載)。

 専用ガス供給ボックス(発電機用3m、発電機用5m)、ボックス外形寸法は幅300×高300×奥行130㎜(突起部を除く)、接続の発電機側には迅速継手使用。なお、ガス供給ボックスは液化石油ガス設備士による施工が必要。オプションでエンジンオイル、保管用カバー、防音ボックス、並列運転コード、チャージコードを別売。