矢野経済研究所はこのほど、風力発電設備の市場動向や市場規模などを予測した調査報告書「風力発電システム市場の現状と展望 2014」を発行した。A4判169頁で、定価は12万円。同報告書によると、国内の風力発電システム市場規模は平成27年度に1000億円を超えると見られている。
国内の風力発電システム市場規模(運転開始ベース)は平成23年度が178億円、24年度 は278億円、25年度は265億円と推計されている。一方、FIT制度下で売電単価が上昇し、25年度の風力発電での売電市場規模は1046億円と、22年度比で約2.5倍に伸びると見られる。今年度以降は、環境アセスメントを終えた大型案件の着工、運転開始が見込まれ、28年度には総出力500MWに達すると予測される。これに伴い、風力発電システムの市場規模も今年度は740億円まで回復し、27年度には1000億円を超え、32年度には25年度の約10倍、2800億円に拡大する模様。
市場トレンドとしては、欧州を中心に普及している洋上風力発電の導入が挙げられる。洋上風力は北海を中心に、英国やドイツ、ベルギーなどで展開されている。一方、日本国内では今年3月末の時点で 26基・49.6MWと少ない。今後は、陸上平野部で風力発電の適地が減少していることなどで、新規導入量が拡大すると見られる。洋上は陸上に比べ風況が良く、大規模開発に向くが、漁業関係者との折衝や建設専用船などインフラ整備に時間がかかる欠点がある。このため、37年頃までは引き続き陸上風力が市場拡大を牽引する見通し。洋上風力の拡大で、システム市場規模は37年度に5600億円、42年度には1兆円規模になると同社は予測する。