現在、欧州において、ウクライナ紛争によりロシア産ガスの供給が不安定になる中、日本のヒートポンプ式暖房設備(給湯器エコキュートに使用されている技術)に注目が集まっているという。
欧州の一般家庭における暖房はセントラルヒーティングがメイン。ボイラーでガスや石油を燃やして作った温水を、各部屋に設置したラジエーターに送って床暖房する仕組みだ。対するヒートポンプ式は大気にある熱と電気を組み合わせて温水を作る。空気中の熱を利用するので必要とされる電気エネルギーが少なくて済み、よって電気代が安くなる。
従来、脱CO2の観点から環境意識の高い欧州人に注目はされていたが、設置費用が高かったためそれほど普及浸透しなかった。しかし、コロナの感染流行により変化した。グリーン・ディール政策のもとEU各国が購入支援策を打ち出し、ヒートポンプ式設置費用総額の70%、なかには100%を負担して設置を後押し。そしてさらに、ウクライナ紛争によるエネルギー高騰がヒートポンプ式設置の需要拡大につながった。ヒートポンプ式暖房設備の主力メーカーであるダイキン工業株式会社、パナソニック株式会社は生産能力を拡大する方向で、日本初のエコ暖房が欧州で広がりに目が離せない。